2013年4月3日水曜日

ロケットストーブ付石窯作り43 / チューニング結果

日曜は前回紹介した石窯用のパーツや道具の使い勝手や
効果を確認するためPizzaを焼いてみました。

石窯内の温度推移です
10:50頃火入れを開始、12:00以降の1時間ほどは料理の
下ごしらえなどのため何度も石窯から離れてしまって
温度が停滞してますが、これまで200℃に達するのに2時間ほどを
要していたのが今回は1時間かからずに超えています。
曇りで分かりづらいですが火入れから5分も待たずに煙突からの煙は
ほぼ無色透明になりました。

また、ピザを焼き始めた14:00過ぎにはヒートライザー上部で
500℃、焼床で300℃を超えました。
火入れから20分ほどは杉の細い角材を燃料としているので
温度は一気に上昇しています。
その後は10cm角以上の太っとい広葉樹の薪(なので燃えにくい)に
切り替えたので温度上昇も緩やかになり500℃ほどで頭打ちに
なりました。(400℃を超えたところから500℃に上げる際には
ちょっと小技を使いましたが。小枝じゃなくて。。)
細い薪を混ぜて使えば更に高温にすることもできるだろうと
思ってます。

薪の量は、いつも3束(1束=約10kg)ほどを使用して
いましたが今回は2束以下で済みました。
(それでも普通のピッツェリアで使用する薪の量が
1日営業して4〜5束ってことなので燃費は悪いと思います。
ただ屋内に設置され、毎日火入れするピッツェリアの窯と
違って、毎回冷えきった所から温めないといけないので
仕方ないかなと思ってます)

今回薪は少しずつ追加するようにしました。
(1度に投入するのは10cm角の薪1本。これが燃え尽き
ほぼ熾になってから次の薪を投入する感じ)
これまでなら、このような投入方法だと石窯内は200℃
くらいで頭打ちになっていたはずなので燃焼効率や
蓄熱のスピードもかなり向上したようです。

熾は順に燃え尽きて白い灰になりますので
溜まって煙道を塞ぐようなこともありませんでした。
最後は真っ白な灰がごく僅かに残りましたが100ccにも
満たない程度でした。

ということでまだ考えていることはありますが、
まずは今回のチューニングに一定の効果があって
良かったです。

パーラも使い勝手は良さそうです。

ただ、まだ使い慣れていないのと今回の生地が
発酵させ過ぎだったりで5枚焼いたのにどれも及第点は
あげられない出来でした(T_T)
これは生地が破れました。写真はありませんが更にもう1枚
破れました。

これは狙って作った訳じゃないのに何故か♡型に・・・^^;

これも形が良くないし・・・

これはクワトロフォルマッジ。形は一番まともながら、火を落とし
かけてから投入したので焼きが甘いなぁ。

ま、どれも腕のせいなので経験あるのみです。


これは今回のPizzaの縁(コルニチョーネ)の断面
焼き色は薄いですがオーブンレンジで焼いた時のと比べると
膨らんでそれなりに空洞ができました。
理想とするコルニチョーネにはまだまだ達していませんが
ここまでできるのも石窯ならでは (^^)v
目指すは表面がパリッじゃなくサクッ、中はモッチリじゃなくフンワリ
これもまだまだ探求が必要だな

ちなみに材料はナポリピッツァの規定を守って小麦粉、イースト、
塩、水のみです。粉はCaputo Pizzeria


カンパーニュも焼きました。
前日仕込まなかったのに、急に焼こうということになり
捏ねからトータル3時間程で焼成するレシピを選びましたがまずまずの
出来でした。
クープが均等に割れていないのはきっと俺のクープナイフの
使い方が下手なせいです・・・ハイ。
味は前回の方が良かったかな。

2013年4月2日火曜日

ロケットストーブ付石窯作り42 / 石窯のチューニング

先日からボチボチと作っていた石窯用のパーツとか
道具の紹介をば。

まずは石窯開口部の中ぶた

続いて、これはバーントンネルを上下に分ける仕切り板
このようにバーントンネルの下に置いて空気の取り入れ口にします。
穴の空いてる方がトンネルの奥になるように設置。

更にこれは断熱材の残材です。
これを蓋代わりにして焚口を絞るのに使いました。
こんな感じで焚口に立てかけて隙間を狭くしたり、広くしたりして
燃焼状態がどうなるか試したのです。
ハッキリと効果があったので、いずれ調整窓付のちゃんとした蓋を
作ろうと思っています。

この3つのパーツの狙いをまとめてみました。

燃焼には可燃物+酸素+高温の3要素が必要ということは
(一応理系なので)理解してるつもりでしたが、これまで
あまり意識したことがありませんでした。
ところが石窯に組み込んだロケットストーブで
何度か火入れを行ううち、
「ロケットストーブって何も考えずとりあえず
乾いた薪を突っ込めば激しく燃えるし温度も上がるけど
この3要素の調整/バランス次第でもっと少ない燃料でも
同じように石窯の温度上げられるんじゃ?」という気が
してきたんです。

適当に作って適当に使ってスゴイ性能が出るなら
その方がいいのですが、どうもロケットストーブの性能は
チューニングと使いこなしで、まだまだ上がるんじゃないかと
思ったわけです。

そのキッカケになったのは、ある寒くて風が強い日の
ことでした。
正面からの冷たい風を少し遮った方がいいかなと
焚口を板で塞いだところ、急にゴーゴーという
激しい燃焼音とともに石窯の中に大きな火柱が上がったのです。
そしてその時石窯内の温度は一気に上昇しました。

大量の燃料と空気(酸素)を供給することで燃焼が
激しくなるとすれば、焚口を絞ることで逆に火の勢いは
落ちるはずです。
そうはならず激しく燃焼したのは何故なんだろうと
考えたのです。

で大量の燃料と空気を供給することで3要素のうち
2要素を満たすことになる一方で、一気に流れ込んだ
大量の冷たい空気は燃焼している箇所を通過する際の
流速も早いため大して温度が上がらないまま
通過してしまうんじゃないか、
そして低い温度の空気(酸素)を可燃ガスにぶつけても
一部の成分(リグニンなど)はあまり燃焼できないんじゃないか、
と思ったのです。

加えて勢い良く入ってきた空気はヒートライザーで
強い上昇気流となり、熱膨張と併せて更に勢い良く
燃焼ガスとして煙突から出ていってしまうのだろうと
思います。

つまり現状では薪の持つエネルギーを十分取り出せて
いないだけでなく十分に利用もできていないのだろうと
思いました。

ということでできる限り高温の燃焼ガスを発生させること
(=完全燃焼に近づける)、そしてこのガスをなるべく長い時間
石窯内に滞留させようと考え、この3つのパーツに辿り着きました。

3つのパーツのそれぞれの役割と狙いはこうです。
  • 石窯開口部の中ぶた
    • 火入れ後石窯が適温になるまでの間、開口部の口径を絞る(かつ開口部を低くする)ことで高熱の燃焼ガスをできるだけ石窯全体に行き渡らせ、特に床面への蓄熱を促すことができるのでは、と考えました。
    • ちなみに中ぶたの開口部面積はロケットストーブのヒートライザーの断面積と同じにしました。(約160平方センチ)
  • バーントンネルを上下に分ける仕切り板
    • バーントンネル内に設置して、このパーツ上で薪を燃やします。
    • これによって、仕切りの下を通る空気を熱し、その熱した空気をヒートライザーで燃焼ガスにぶつけることでより激しい燃焼を促せるのではと考えました。
  • 焚口の断面積を絞るための調整窓付の蓋(今回は耐熱板の残材を使用)
    • 燃焼に必要最小限の酸素(空気)を取り入れるようにしてゆっくりと燃焼部の下を通し、十分高い温度になってからヒートライザーで可燃ガスにぶつけることでより激しい燃焼を促せるのではと考えました。
    • 焚口が狭い方がいいなら最初からそのように作ればいいのでは?と思ったりしましたが、火入れ直後は大きく開けていた方が早く火が大きくなります。それに同じ開口部の断面積でも薪の量によっては激しく燃えたり燻ったりしますので面積は調整出来る必要があるようです。
考えた仮説が正しく、その上これらのパーツが理屈通り機能すれば
より少ない燃料で石窯を温めるたり温度をキープすることが
できるはずです。
それから石窯が適温に達するまでの時間も短縮できるだろうと
思います。

さて最後にこれは燃焼と関係ありませんがPizza投入用のパーラ(パラ)
購入すると1万円近くするものなのですが、馬鹿らしいので
自作しちゃいました。

ステンレス製のピールでは粉を振っても生地がくっついて
しまうのでやむなくこれまでクッキングシートを使って
いましたが、木製のパーラにすることで直接焼床に
生地を投入できるようになりました。

材料はホームセンターで購入した杉板と杉の棒です。
費用はそれぞれ数百円なので合計1000円ちょっと。
以下、工程です。

まずは杉板を適当な形に切り抜きます。

続いてビスケットジョイナーという工具を使ってこのような
溝を掘りました。

この溝に木工用ボンドを流し込みビスケット(下)をはめて
杉板と棒を接合してハタガネで固定し乾燥させます。

更にグラインダーでパーラの先端ほど薄くなるよう荒く削り、
オービタルサンダーに#180のペーパーを付けて研磨
更に#400のペーパーで仕上げの研磨して
最後に持ち手部分だけオイル仕上げとしました。

ついでにパン投入用のパーラも作りました。

長くなったのでこれらの用品の使用結果はまた改めて。