2015年6月4日木曜日

ロケットストーブ内蔵の石窯作り/その56 石窯の使い勝手

気が付けば石窯作りに関しては最後に投稿してから
1年以上が過ぎてました。

その間、屋根作らなきゃなぁと思いつつも
全く手を付けられず・・・

今回も何か作ったとかではないですが
少し間も空いたので最近石窯で試したことでも
書いてみようかと。

さて本題ですが
ここのところ耐火レンガが乗ってたパレットとかを
バラして廃材が結構溜まってきたこともあり
これを燃料にして、いつもとは違う方法で石窯を
熱してみたのです。
(上手くいかないかもしれないのでちゃんとした薪を
使うのは勿体無いからね)

というのも、ウチの石窯に組み込んだロケットストーブで
石窯を熱すると、煙がほとんど出ないとか
少ない薪で長時間調理ができるとか、良い面も
ある一方で、ナポリピッツアを焼くには少し温度が
足らず、これを何とかしたいなぁと思っていたのです。

ちなみに今でもパンやグリル料理、煮込み料理なら何の問題も
無いですし、ピッツァだって十分美味しいと言えるレベルで
焼けるんです。
ただ、今のピッツァじゃ"ナポリ"は頭に付けられない・・・
とにかくナポリピッツァって規格が厳格なんです。

生地の材料には小麦粉(特定の強力粉)と塩とイーストと水しか
使っちゃダメとか。

家庭用のオーブンで作るピッツァには、
よく生地を膨らませるためにベーキングパウダーや
砂糖、薄力粉、バター、オリーブオイルとかを
入れるレシピがありますが、これを入れた瞬間
ナポリピッツァと呼べなくなってしまうのです。

更にこの生地の縁をモチっ、フワっと焼かないと
やはりナポリピッツァとは呼べないのです。

小麦粉と塩とイーストと水しか入れていない
生地をフワっ、モチっと焼くには良い発酵状態の
生地を超高温で短時間で焼く、これ以外に方法が
無いのです。
(生地の延ばし方とか、焼き方とかも重要ですが
低い温度をテクニックでカバーすることは
不可能なのです)

石窯を作ると決めたのが
「ナポリピッツァってメチャメチャ美味いやん、
だけど家の近くにゃ美味しい店無いなぁ〜
あ〜車の運転や終電のこと気にせずに、思う存分
アツアツのナポリピッツァをつまみにお酒が飲みた〜い!」
て願望からなので、ここ(温度)はどうしてもこだわりたい。

毎度前置き長くてスミマセン・・・
てなわけで今以上に温度を上げるにはどうしたらいいかと
今回試した燃焼方法がコチラ↓
  • 最初はいつも通りロケットストーブ側に薪を入れて点火
  • 石窯内がある程度温まりロケットストーブ側に熾ができたら、その熾を石窯内に移す
  • その熾に薪を乗せ、石窯内で燃焼開始(同時に石窯内のロケットストーブ用の開口部は蓋で閉じる)
  • 石窯内に薪を投入し続け適温になるまで熱する。
ちなみに以前、最初から石窯側で薪を燃やしたことは
ありました。
その際は、慣れていないせいもあって1時間以上かけても
十分な燃焼状態にならない上に、いつまで続くか分からない
煙の凄さにビビリ途中で断念してしまいました。
(煙の量が干し草の野焼きのレベルとでも言いますか・・・)

対して今回は1時間程度ロケットストーブを使って
十分に石窯内を熱したことと、ロケットストーブ側に
溜まった熾火を使ったことで、すばやく巡航状態に
なりました。
つまり大量に煙が出たのは僅かな時間(10分とか)で
済んだのです。

で肝心の温度ですが、

ムフフ、、、
そうなんです、かつて経験したことの無いような温度まで
上昇できたのです。こんな感じに。

【石窯天井表面】
広い範囲で600℃前後
(従来の最高は500℃超、しかも局地的)

【石窯天井内に埋め込んだ熱電対で計測した温度】
500℃超
(従来は400℃超が限界)

【石窯内床面温度】
350℃〜400℃
(従来は300℃超が限界)

試しにピッツァも焼いてみましたが
ほぼ1分で完全に焼きあがりました。(従来最速でも3分くらいかな)
薪が燃えている側の生地が一瞬でプクッと膨らむ所も
本格的なピッツェリアの石窯みたい・・・

てことで、とうとうやりましたヨ!
長年の夢だったナポリピッツァが焼ける石窯を
手に入れたってことです!パチパチパチ(^^♪

一番大事な温度に関してはまったく不満の無い
レベルに到達しました!!

発酵に失敗して生地の状態はイマイチな割には
縁の部分も膨らみましたし、チーズや具の
焼け具合も良好です。

これは石窯作りの前から分かっていたことですが
石窯内が炎で明るいので投入したピッツァの状態が
ひと目で分かるのもGood!
(いつもは石窯内が暗いのでライトで照らしたり
してましたが、それでも暗くてよく見えなかったのです)

更に料理の出来と関係無いですが、炎がゆらゆらと立ち上る様子が
見られるのもいい感じ。ずっと見ていても飽きません。
(酸素が限られてるのでこんな燃え方になるのだと思います。
普通の焚き火とかと全然違う燃え方です。多分薪ストーブの
燃え方に近いんだろうと思います)

但しいいことばかりとも言えません。
一方で困ったことも。
やはりロケットストーブで燃焼させる場合と比べると
煙がかなり出るのです。

参考までにこちらがロケットストーブで燃焼させた時の
煙突の様子
最初は煙が出てますが巡航運転に入ると薪を足してもほぼ煙は見えません。

一方石窯内で薪を燃やすと
このくらいの巡航運転の状態でも
これくらいの煙が出ます。

更に
薪を多めに入れて激しく燃やすと
このぐらいの煙が出続けます。

個人宅に石窯を作る際、煙の問題(近所迷惑)が気になる方が
多いと聞きますが、今回のことでそれがよく分かりました。

今まで一般的な石窯でも温度が十分上がればほとんど煙は
出ないって雑誌とかにも書いてあり、それってウチの
ロケットストーブ内蔵の石窯と同じくらいなんだろうなと
想像してました。

ウチの石窯、巡航運転になると、よ〜く目を凝らしても
熱で向こうの景色が揺らいで見える程度なので煙は
まったく目視できない状態になりますが、こんな感じかなと。

それならバーベキューとかに比べても、煙はもちろん匂いも無いし
何がそんなに気になるんだろ?って思ってた訳ですよ。

それが今回の熱し方(つまり一般的な石窯の熱し方)では
巡航状態でも動画のような煙が出る訳です。

この状態を「ほとんど出てない」というのか
「少し出てる」と言うのかは主観の問題とは思います。
ただ、これを煙が「ほとんど出てない」って言うなら
ロケットストーブを使う場合は「全く出ない」と
言って差し支えないほどの違いがあります。

少なくとも今回のレベルで煙が出るとなると
ウチも石窯の向かい側は林ですが横方向や
反対側には住宅がありますから、風向きが気になって
仕方ありません。

石窯内で薪を燃やすのは夕方遅くから調理を始める時に
限定すれば、ご近所の洗濯物や布団も取り込まれてるだろうし
暗ければ煙も見えなくなるから何とかなるかなぁと思ったり。
あと、真夏や真冬なら冷房や暖房で窓を閉め切ってるお宅が
多いから大丈夫かなとか。
(そんな日に石窯使うのイヤですけど・・・)

別の考えとして、この石窯、あとチョットだけ性能を上げられれば
本格ナポリピッツァが焼けるのに煙はほとんど出ないし
取り扱いも簡単というスゴい石窯になる可能性があるって
ことですよね。

もうちょっと改良策、考えてみようかな〜